技術
本来の色を
引き出すために
着色は、作品の保存性と美しさを高めることが目的です。金属が持つ本来の色を引き出すため、古くから伝わるさまざまな材料や技法を使い、金属の表面を腐食させ、化合物を生成させます。手法は長い間の試行錯誤から、いくつも生まれています。
青銅
銅や銅合金(真鍮など)が酸化することで生成される青みがちな緑色の錆(緑青)。
銅や銅合金の表面に皮膜を作って内部の腐食を防ぐ効果や、抗菌効果がある。
緑青は、酸素の触れる表面にのみ発生し、ブロンズ像は、緑青の皮膜に覆われることで長きに亘って元の形を留めることができる。
漆
鋳物の表面に塗った漆をある程度の高温で焼き付け乾固させる。この方法を使って乾固させると漆は自然乾燥の場合よりも金属により付着し、強度が増すことができる。
煮色
銅や銅合金などの鋳物を硫酸銅と炭酸銅(緑青)の混合液の入った鍋で煮込み、発色させる技法。黄銅色、茶褐色、黒味銅色など、合金の配合によって発色する色目が異なる。良好な発色が得られるため、煮込む前に鋳物を大根のおろし汁で洗浄する。
焼き色
【本焼き】花器などの鋳物を炭火で焼いたあとサンドペーパーで磨き、酸化被膜の模様を出す。そのあと青銅(本焼青銅)または煮色にして おはぐろ を刷き朱銅色にする(本焼朱銅色)。
【糠焼き】
銅や銅合金などの鋳物に、食塩や硫黄などを混ぜた米糠を塗り焼き上げる技法。
箔
金箔、白金箔、銀箔を漆など使い押して、表面保護または錆入れをする。